「繁栄と富と幸福」はいかにして築かれるのか。
お金を貯めたい人、これから資産家を目指す人、お金の教養を身に着けたい人。そんな人におすすめの本が「バビロンの大富豪」です。
この記事ではその「バビロンの大富豪 「繁栄と富と幸福」はいかにして築かれるのか」から、富をもたらす黄金の「七つの知恵」を書評としてご紹介します。
- 稼いだものの一部を自分のものとして取っておく
- 自分の欲求と必要経費とを混同してはいけない
- 貯めた資金は寝かさずに増やすべし
- 損失から貴重な財産を死守すべし
- 自分の住まいを持つ
- 年老いてから必要な金と、家族を守るために必要な蓄えとをあらかじめ用意しておくこと
- 明確な目的に向かって、自己の能力と技量を高め、よく学び、自尊心を持って行動すべし
- まとめ
稼いだものの一部を自分のものとして取っておく
まず最初に自分に支払う。
これは金持ち父さんシリーズにも出てくるフレーズで、全ての資産運用は自分の収入の一部を確保するところから始まります。
この一番最初の部分が大前提ですが、多くの人はこれができません。
給料日を迎えるとすぐにクレジットカードの支払いを迎え、気づけば給料が無くなっている。そんな人がこの世にどれだけいることか……
また、そんな人は自分が何にお金を使っていて、どこを減らせば貯金ができるのかを知りません。
お金を貯めたい人は、収入があれば最低でも1割は貯蓄に回すこと。
残ったお金の範囲内で生活すること。そのために家計を把握することが必須であり、だから家計簿が重要なのです。
ちなみに収入の1割を貯蓄というのは万人に当てはまる数字ではありません。将来自分がどうなりたいのか、そんなライフプランを元に逆算して初めて自分にとって最適な貯蓄額がわかることを覚えておいてください。
自分の欲求と必要経費とを混同してはいけない
いわゆる自己投資だの必要経費だのなんてものは全部主観的な意見であり、その妥当性は疑わしいものです。
結局自分がお金を使う理由を正当化しているだけです。だったら最初から自分が好きに使っていいお金を決めている方がずっと健全です。
予算を立てましょう。大丈夫、最初に自分に支払っているのですから、その残ったお金以上を使わなければ何も怖くありません。
自分の生活を豊かにするために存分に使えばいいのです。
貯めた資金は寝かさずに増やすべし
2016年現在、日本の普通預金の金利はわずか0.001%です。そこに寝かしていても決して増えません。
それどころか物価の上昇に追いつけないので、その価値はどんどん減っていきます。
増やしましょう。ここからようやく投資を始め、資産家への一歩を踏み出せるのです。
損失から貴重な財産を死守すべし
ではなんでもかんでも投資すればいいかというとそういうわけにはいきません。投資先は必ず慎重に選ばなければなりません。
損だけは絶対に避けなければいけないのです。最低でも普通預金に勝利しなければ、資産家どころの話では無くなるのです。
そこで財産を死守するポイントを3つご紹介します。
元本を守る
まずこれができれば負けることはありません。
とは言え「元本保証」と謳っている投資商品には注意してください。まず大前提として「元本保証」のある投資商品は存在しません。
普通預金ですら1,000万円までしか保証されないのです。
また、全ての投資商品について元本を死守せよという話でもありません。トータルで元本分が守られていれば良いのです。
見切り千両、損切り万両という言葉があるように、元本が割れていたとしても損切りには大きな価値があります。
流動性を意識する
投資商品を購入するときは必ず流動性リスクを意識してください。
普通預金もある意味投資商品の1種ですが、流動性リスクがほとんどないので大抵の人はそのリスクを知らずに生活しています。
しかし、資産家である以上、必ず流動性リスクを知っていなければなりません。いつでも現金化できるものばかりではないのです。
株などは流動性が比較的高く、不動産はとても流動性が低いです。
できるだけ流動性が高いほうが好ましいです。一方で流動性が低いものは、そのすぐに現金化できないというリスクを自分が取れるかどうか、よく考えてから購入しましょう。
確かな利息
投資商品から得られるインカムゲインは安定しているものが好ましいです。
極端な話、投資詐欺に該当するような投資商品はとても高い利息が設定されていますが、確かにその利息が受け取れるかどうかは全然別問題です。
投資先が確かに利息を払えるだけの利益や価値を創造できるかどうか、十分調べる必要があります。
5年先、10年先も安定して利息や配当がつくかどうか、そういった長期的な視点が投資には不可欠です。
自分の住まいを持つ
ちゃんと価値のある家を購入することです。
よく言われている「マイホームは資産」という言葉。必ずしも正しいとは限りません。
簡単な例を挙げると、まず新築マイホームは資産とは言いがたいです。それは買った時の値段より売った時の値段のほうが安いからです。
長期に渡って、価値を持ち続ける家を購入すると、おそらくそれは資産と呼べるものになるでしょう。
賃貸と違って住宅ローンには終わりがありますし、支払いが終われば有形資産として家が残ります。その後は固定資産税と修繕費用で住み続けることができますから、長い目で見ると資産家にとって良い物になるでしょう。
ちなみに、金持ち父さんでは「持ち家は負債」と表現されていますが、負債の定義から言えば、借家だって自分のポケットからお金を取っていくので負債です。このフレーズだけ一人歩きしやすいのですが、持ち家は負債なので”買ってはいけない”とはどこにも書いてありません。
持ち家は負債だと認識した上で購入するのが大事ですよ、と書いてあります。
年老いてから必要な金と、家族を守るために必要な蓄えとをあらかじめ用意しておくこと
現代日本で言えば、公的年金と保険だけに頼ってはいけないということです。
少なくとも、まだ稼げるうちはこれらをアテにしないほうが良いです。自分の面倒は自分で見るぐらいの責任感と自助努力が必要でしょう。
今から資産運用をし続ければ、誰だって準備できます。決して他人だけをアテにしてはいけません。
明確な目的に向かって、自己の能力と技量を高め、よく学び、自尊心を持って行動すべし
全ての資本の源は自分という人的資本です。
自分こそが自分の資産運用のエンジンなのです。
自分の体という人的資本で収入を得て、その一部で物質的資本を手に入れていくのです。
「r > g」という式をご存知でしょうか?
これはピケティが「21世紀の資本」という本の中で、資本収益率(r) > 経済成長率(g)という不等式が成り立つと論じたものです。
簡単に言えば、人が稼ぐ金より物が稼ぐ金のほうが多いということです。
だから我々は資本からの収益を求め、目指しているのです。
そのためには、資本収益の源である人的資本、すなわち自分を成長させなければならないのです。
まとめ
この「七つの知恵」は「バビロンの大富豪 「繁栄と富と幸福」はいかにして築かれるの」の本の1章に過ぎません。
この本の良いところは、資産運用の考え方だけに留まらず、幸福な生き方にまで言及されているところです。
物語ベースで書かれており、とても読みやすいので是非読んでみてください。