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松下幸之助の名言から学ぶ社会資本を融通して運をひらく考え方

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先日、松下幸之助の『運をひらく言葉』を読みました。

松下幸之助 運をひらく言葉 (PHP文庫)

松下幸之助 運をひらく言葉 (PHP文庫)

 

その中の「困難を乗り越える言葉」という章の中に「全世界はすべて自分のもの」というなんとも厚かましい一節がありました。

よくよく読んでみると、要するに自分一人の力だけでやっていこうとするんじゃなくて、周りにあるものをうまく使いなさいってことでした。

今回はこの一節をもっと深掘りして考えてみようと思います。是非読者のみなさんの役に立てばと思います。

世界は融通されて成り立っている

「ひとりはみんなのために。みんなはひとりのために」という言葉があります。これは精神論的な名言であると思いますが、僕はただ単に相互扶助の美しさを訴えるだけの言葉ではないと思います。

どういう事かと言うと、もっと物理的な意味で捉えても名言だということです。特にお金などを見ればわかるように、あらゆる物は「融通」されて、皆助けあって生きているということです。 もっと具体的に言えば、預金は自分一人の物だと思われがちですが、実は銀行にお金を貸しているのであって、更にそのお金は赤の他人に融通されています。

自分はみんなのためにお金や物、サービスを提供し、みんなは自分のためにお金や物、サービスを提供しているのです。 ともすれば、全世界はすべて自分のものと思っても現実とのギャップはそんなに無い訳です。このことについて松下幸之助は次のように言っています。

教えてあげようという人がたくさんいるのに、それらの人の知恵を吸収しないというのは、まことに貧困な姿だと思います。あたかも、自分の財産は自分一人がもっているものだと思っている人と一緒です。もう少しひらけた人ならば、良寛さんみたいな人であれば、全世界すべて自分のものだ、と思っています。

松下幸之助 運をひらく言葉 (PHP文庫)

つまり、全世界のものは―人の知恵すらも―自分のものだということです。他人と互いに干渉することによって互いに所有できるということです。

経済学的視点からの考察

21世紀の資本』の著者であるトマ・ピケティによると、資本の収益率はイギリス・フランスで18世紀後半から21世紀前半にかけて5~6%から3~4%に減少し、結果として国民所得に占める資本所得の割合は約4割から約3割に降下、これに連動して労働所得の割合は約6割から約7割に上昇しました。ということは富裕国では人的労働、技術、ノウハウの重要性が高まったことで労働所得の重要性が増したと言えなくもありません。

ところが労働の価値が高まると同じように資本の価値も高まります。人の代わりに働いてくれる機械やソフトウェアがどんどん出てくるのです。したがって労働が資本に勝るほどの重要性を持つことはありません。

現在はインターネットの目覚ましい発展により個人の影響力が大きくなっています。個人のレベルではその人の才覚で何とかなりやすい時代になっています。

しかし人間の成長にあわせて社会資本も成長しています。世の中の蓄積はバカにならないのです。この存在を無視して、ただ「がんばって上を目指す」のは賢明とは言いがたいです。自分の強みや適性だけじゃなくて、もっと周りにあるものを利用することも考えないといけません。

ここで心得ておきたいのが「全世界はすべて自分のもの」という考え方です。これこそまさに社会資本を積極的に利用しようという心構えだと思います。

全世界はすべて自分のものと考えると心が豊かになる

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全世界がすべて自分のものだと思えるようになると、失うことによる不安を断ち切ったり、独占欲によるトラブルを回避したり、心に余裕が生まれたりします。すると他人に対する感謝の気持ちが自然に湧いてきます。

松下幸之助はこのような具体例を挙げています。

「このへんの土地も料亭もな、全部自分のもんや。しかし、わしは電気屋やから料理屋をやる時間がない。だから、この料理屋さんに頼んでやってもらっている。きょうは料理を食べてお金を払うけどな、それは料理の代金やない。料理は自分の店やからただや。けどな、ここの人たちが一生懸命やってくれたから、なにがしかの礼を払うんや。そう考えれば、このお店の人たちへの感謝の気持ちもより湧いてくるし、何よりも心が豊かになるやろう」

松下幸之助 運をひらく言葉 (PHP文庫)

よく小売店で食品を買ったり外食をしたりした時に、原価を考えて比較する方がいます。こう考えてしまうと店員の方に対して感謝するという気持ちは失われてしまうような、それどころか嫌悪感を抱いてしまっていることもあるのではないかと思います。

そうではなくて、店員の方たちへのお礼として代金を支払うとこのような人たちに比べて幸せな人生を歩めると思います。

さらに、必要な物はいつでも使うことができる、サービスはいつでも受けることができるという考えをもつと自分の思考の制限を無くすことができます。なんでもかんでも自分でやる必要はない。自分でなくともできることは人に任せる。そうすると自分のやりたいことに集中して生きていけるのではないかと思います。

まとめ

つまるところ、「全世界はすべて自分のもの」という考え方は社会資本を利用するための心構えであると言えます。社会資本を利用するということはすなわち人脈やお金、モノなどを融通してもらうということです。

融通してもらうためには信用してもらえる人にならないといけませんね。

信用してもらうには? 実績、資格、コミュニケーション力、ですかね。