オーナーチェンジ物件は買ったときから家賃が振り込まれるので、初心者にとって買いやすい投資物件です。
しかし、中にはオーナーチェンジ詐欺と表現されるような物件を高値で買ってしまい。後から損をする投資家がいます。
できるならそんな目にはあいたくないものです。
どうすればオーナーチェンジ詐欺と言われるような物件を回避できるのでしょうか。
オーナーチェンジ詐欺のパターン
大きく分けてこの2パターンがあります。
- 利回り激減パターン
- 修繕費用発生パターン
いずれも購入したときは高利回り物件です。しばらくは家賃収入がありますが、半年後ぐらいに退去が起こります。問題はその後。
家賃激減パターン
入居者募集をするもなかなか決まらず、大幅に家賃を値下げしてようやく入居者が現れる。
結果、購入金額に対して大きく利回りが下がってしまったパターン。
さらに売却価格も値下がりして出口も消滅。八方塞がりになってしまいます。
修繕費用発生パターン
退去後の部屋を見てみると内装がボロボロ。
このままでは入居者がつかないので、最低でも原状回復をしなければならない。結果、当初の計画より必要な資金が増えてしまうパターンです。
オーナーチェンジ詐欺の問題点
両方に共通しているのが利回りが下がるということです。
家賃激減パターンでは、入居者がついてもキャッシュフローがマイナスになるかもしれません。購入時の段階で家賃の下落を予測し、購入金額に織り込む必要があります。
修繕費用発生パターンでは、最低でも修繕費用の分は購入価格から引いてもらうべきです。
すぐ退去されたことは問題ではありません。どんな物件でも空室リスクはあるからです。それが嫌ならサブリース契約をしましょう。
オーナーチェンジ詐欺の仕組み
オーナーチェンジ詐欺は売り手の「高く売りたい」という心理から生まれます。
もともと、物件を高く売る方法は2つあります。
- リフォームで物件をバリューアップする
- 家賃が高く貸せているときに売却する
オーナーチェンジは2の出口戦略にもとづいて売却されます。
物件価格は収益還元法というやり方で算出されます。
例えば、表面利回りが8%のエリアがあったとしましょう。このエリアの物件は年間家賃収入を0,08で割った数字が売却できるであろう価格になります。
毎月の家賃収入が6万円の場合、6 × 12 ÷ 0.08 = 900万円が物件価格です。
オーナーチェンジ詐欺では、賃借人と組んで高めの家賃で入居者を付けます。
例えば家賃8万円で付けたとしましょう。この場合、物件価格は1,200万円になります。
これで表面利回りが8%になります。物件を見る目が肥えておらず、利回りしか見ていない初心者投資家にはいい物件に見えるわけです。
この状態で売却し、適当な所で賃借人が退去。空室になった物件の家賃は6万円に戻り、利回りは6%まで激減します。
また、オーナーチェンジ物件は内見ができません。これをいいことに、リフォームも手を抜けば利ざやはもっと大きくなります。
一方で、買った人はこのリフォームのツケが回ってきますから、コストが余計にかかり、結果的に利回りが低下します。
オーナーチェンジ詐欺を見抜く3つの方法
退去してから初めて問題が浮き彫りになるオーナーチェンジ詐欺。いや、オーナーチェンジ物件の高値掴みですね。
これを購入前に見抜くには方法があります。
家賃相場を知る
物件にはその立地、広さ、間取りにあった家賃相場があります。
この家賃相場を知っておけば、物件購入前に家賃の異常さに気づくことができます。
家賃相場を知るには、地元の賃貸不動産会社に聞くのが一番です。
なんなら、購入を考えている物件の販売図面を持っていって
家賃いくら取れそうですか?
って聞くのが一番早い。
多くの不動産屋さんは親切ですから、一緒に考えてくれます。近隣類似物件の資料もたくさん見せてくれます。
現地調査をする
購入前に物件の外観を見に行きましょう。
外観だけでも、「え?この物件がこの家賃?」となれば販売図面に書かれている家賃の異常さに気づくことができます。
エレベーターもついていない築古の団地がタワーマンションと同じぐらいの家賃設定だったら引くでしょ?ありえないじゃないですか。
入居者の気持ちになってください。「同じやったらタワマンに住むわ。なんなら賃貸じゃなくて買うわ」って思うはずです。
リフォーム費用の相場を知る
リフォームの見積もりを1回でも取れば、最低限の感覚は身につきます。
費用の目安を知っておきましょう。
部位 | 費用の目安 |
床 | 6~10万円/6帖 |
畳 | 5,000円/1畳 |
壁紙 | 1,000円/㎡ |
ルームクリーニング | 1,000円/㎡ |
エアコン | 30,000円~ |
ウォシュレット | 15,000円~ |
カメラ付きドアホン | 10,000円~ |
物件を買うのは相場観を身につけてから!
オーナーチェンジ詐欺の本質はただの高値掴みです。
そもそも不動産は現況を折り込み済み、納得ずくで買ったと判断されます。それを後から「詐欺だ!」と騒ぎ立てるのはお門違いです。買った後に文句を言って許されるのは消費者だけです。投資家である以上、自分の判断に責任を持ちましょう。
仮に物件を買ってすぐ退去されて、「もしかして詐欺だったのか?」と思ったとしても、家賃下落やリフォーム費用を織り込んで価格交渉しておけば、まだその不動産には活路があります。
価格交渉をするためには日頃からたくさんの物件と業者に出会い、相場観を身に着けていくしかありませんね。