マイナス金利導入の影響で、普通預金の金利が0.001%になりました。
これを受けて、ますます「銀行にお金を預けていてもどうしようもない」状況になってきた今、資産運用を避けて通ることはできません。
しかし、いきなり資産運用と言われても何に手を付けて良いのか、その判断基準に困ると思います。
この記事では、資産運用をするにあたって重視しておきたいポイントを紹介し、これを踏まえた資産運用方法をご紹介します。
資産運用をやったことのない方はもちろん、今資産運用に取り組まれている方も必見です!
資産運用の2つのポイント
押さえておきたい資産運用のポイントは次の2つです。
- インフレヘッジ
- 円安対策
なぜこれらを重要視すべきなのか詳しくお話しします。
インフレヘッジを重視する根拠
1つ目はインフレヘッジです。インフレによる損失に備えることですね。
そもそもインフレとは物価の上昇です。物価が上昇すると通貨、つまり現金の価値が下がります。
すると、資産の価値が減少するので、これを防ぐためにインフレヘッジが必要になってきます。
逆に言えば、インフレヘッジが必要になるということは、インフレが始まるだろうという予測が立っていなければなりません。
インフレが始まるということはデフレ、つまり物価の下落が終わるということです。
そして今まさに、日本ではデフレから脱却する見通しが立ちました。
デフレ脱却は安倍内閣が進めている政策の1つです。世界経済の不透明感が軽減して以降はGDPギャップも順調に縮小しています。
推移を見ても、底値を切り上げていることがわかります。
GDPギャップ(需給ギャップ)とは
需給ギャップとは、一国の経済全体の総需要と供給力の差のことで、GDPギャップとも呼ばれます。総需要は国内総生産(GDP)と同じで、供給力は国内の労働力や製造設備などから推計されます。
需給ギャップがマイナスになるのは、需要よりも供給力が多いときで、企業の設備や人員が過剰で、物余りの状態になります。これをデフレギャップといいます。逆に、供給力より需要のほうが多いとプラスになり、物価が上がる原因になります。これをインフレギャップといいます。需給ギャップは市場メカニズムがうまくいっていないときに大きくなり、それを解消するためには、政府が景気刺激策などで需要を調整する必要があります。
そしてこのまま原油価格が下がらなければ2018年頃にはデフレ脱却宣言が出せるところまで来ていると言われています。
そして、その原油価格もOPECが生産量を制限することで合意したため、需給が悪化して価格が下がるとは考えにくいでしょう。
あわせて読みたい
OPEC:原油生産量を日量3250-3300万バレルに制限することで合意
原油価格の推移を見ても、価格が底打ちしたように見えます。
今はまだデフレ環境ですが、インフレになってからリスクヘッジしては遅いので、今が備えるチャンスでしょう。
円安対策を重視する根拠
2つ目は円安対策です。
これは1つ目のインフレとも関係しています。
先にお話したように、インフレになると現金の価値が下がります。ということは日本円の価値が下がるということです。
物やサービスに対して日本円の価値が下がると、為替の世界でも日本円の価値が下がりやすくなります。
例え日本の中だけで生活するとしても、購入する商品は海外で作られたりしますから当然為替の影響を受けます。
これは「同じ物なら日本でも海外でも同じ価値」という考え方から来るもので、購買力平価説と呼ばれます。
要するに、円の価値が下がる、つまり円安になると物価の面から見ても、為替の面から見ても資産は目減りするということです。
特に、基軸通貨であるドルに対しては円安になりやすいと言えます。
アメリカの利上げのタイミングに世界中が注目しているからです。利上げすることはあっても利下げすることは考えにくいです。
日本がマイナス金利を拡大しようとしている一方で、アメリカは金利を上げようとしているのです。政策金利の推移を見ても、実際そうなっていることが分かります。
普通、お金は金利の高いところに預けたいと思われるので、日本円が売られてドルが買われることになります。これをキャリートレードと言います。
そうなると、円安・ドル高に拍車がかかることになるでしょう。
したがって、円安になりやすいと予測されるので円安対策をする必要性は強くなってきていると言えます。
そもそも、為替は先の見通しが立てにくく、予測が困難なので普段から外貨建て資産を持っておいて為替ヘッジをするべきなのです。
ポイントに適した商品
2017年の資産運用で重視すべきポイントがこれでわかりました。
ではそれぞれのポイントを抑えて資産運用するにはどんな商品を選べばよいのでしょうか?
インフレヘッジに適した商品
インフレとは物価の上昇ですから、物としての実体がある有形資産か、それを提供する事業として資産を持つとヘッジができます。
ということは必然的に不動産や株式、ということになります。
不動産
不動産の利益の源泉は家賃収入と売却益です。
家賃収入は景気の影響を受けにくいです。家賃はバブルになったからといって急に上がったりしませんし、恐慌になったとしても急に下がったりしません。
安定した収入源にはなりますが、インフレヘッジという目的には合致しません。
一方で、売却益は景気の影響を受けやすいです。バブルのときは何倍にも価格が釣り上がりますが、それが弾けると一気に暴落します。
インフレヘッジという目的に合致するのはどちらかといえば売却益を狙った投資になります。
しかし、人口減少局面にある今の日本では、全国的にインフレに伴って価格が上昇するとは考えにくいでしょう。実需が伴わないからです。
一方で、不動産はマクロとミクロの乖離が大きいため、需要のあるエリアで相場よりも安く買えたらノータイムで買いたいですね。
ただ、不動産投資は事業性が強いため、きちんとセミナーに行って細かい所まで勉強することをオススメします。
不動産投資の最大のリスクは己の無知です。
不動産投資のセミナーは不動産会社が無料でやっているものもありますが、最終的に物件を売ることを目指しているため、勉強先としてはオススメできません。
僕のオススメはファイナンシャルアカデミーの「不動産投資の学校」です。
有料ですが、知識の提供を目的としているため、不動産を介した利害関係がありません。なので、業者にとって都合のいい情報だけを教えられることはなく、正しい知識を体系的・網羅的に学ぶことができます。
一方、自分で不動産やりたくない方はREIT(不動産投資信託)がオススメです。
専門家が収益性を考えて商品を設計しているため、株式と同じ感覚で始めることができます。
株式
株式の利益の源泉は配当と売却益です。
配当を狙う場合は配当利回りが高く、しかも増額傾向にある企業の銘柄を購入しましょう。
これだけでも十分インフレヘッジが可能です。
一方、株式投資と言えばやはり売却益が本命になってきます。
インフレになると物価が上昇します。物価が上昇すると企業の売上が増えます。売上が増えると純利益も増えやすくなります。
株価とは1株あたり利益とPER(人気度)で決まりますから、純利益が増えやすくなると株価も上がりやすくなります。
株価の上昇こそインフレヘッジの本命なのです。
とは言え、全ての銘柄の株価が上昇するわけではありません。
株価が下がりにくく、上がりやすい銘柄をしっかりと選んで投資しなければ意味がないのです。というか損をします。
これでは本末転倒なので、株式投資も勉強が必要です。
これまた不動産投資と同様に、証券会社がやっている無料セミナーなどがありますが、最終的に金融商品を売ることを目指しているため、勉強先としてオススメできません。
僕のオススメはファイナンシャルアカデミーの「株式投資の学校」です。
有料ですが、知識の提供を目的としているため、金融商品を介した利害関係がありません。なので、業者にとって都合のいい情報だけを教えられることはなく、正しい知識を体系的・網羅的に学ぶことができます。
勝つための手法はもちろん、株の買い方から教えてもらえるので、全くゼロからのスタートにはもってこいです。
あわせて読みたい
【2017年会社四季報】この冬おすすめの優良銘柄株24選!【新春号】
一方、自分で株をやりたくない方はインデックス型の投資信託をオススメします。
投資信託は本を買わなくても投資信託協会が無料のガイドブックを郵送してくれるので、それで十分だと思います。
また、投資信託ならアメリカのETF(上場投信)もオススメです。これならインフレヘッジはもちろん、円安対策も同時にできます。
そしてアメリカの株式やETFはSBI証券のNISA口座から購入すると購入時の手数料が無料です。
株をやる人なら必ず開設しておきたい証券口座ですね。
円安対策に適した商品
円安対策は為替リスクのヘッジと同じことですから、外貨建ての資産を持つことでできます。
外貨建ての商品で代表的なものは下記の3つです。
- 外貨預金
- FX(為替証拠金取引)
- マイクロファイナンス
外貨預金
今持っている円をそのままドルなどの外貨に変えるだけなら、外貨預金がお手軽です。
外貨預金は新生銀行などの金融機関でできます。
しかし、外貨預金は手数料が高く付くのが玉にキズです。
FX(為替証拠金取引)
外貨預金に比べて手数料が圧倒的に安いのがFXです。
FXと聞くとハイリスク・ハイリターンな投資商品だと思われがちですが、リスクの大きさは自分でコントロールできます。
それがレバレッジという仕組みです。
レバレッジ(英語: leverage)とは、経済活動において、他人資本を使うことで自己資本に対する利益率を高めること、または、その高まる倍率。 原義は「てこ(レバー、lever)の作用」。 レヴァレッジ、リバレッジなどカナ表記はいくつかある。 レバレッジ効果、レバレッジ率などとも。
日本では25倍までレバレッジがかけられます。
例えば、4万円の自己資金で100万円分の外貨(1ドル=100円の場合、1万ドル)が取引できます。
しかし、そんなに高いレバレッジをかけると4円(400pips)動くだけで資金が全額溶けるので、普通は余力を持って2倍、3倍、上げても10倍程度が現実的です。
そして、レバレッジが1倍なら外貨預金と同じことになります。この場合、FXの方が圧倒的に手数料(スプレッド)が安いので、どうせ同じことならFXの方がお得ということになります。
あわせて読みたい
FX入門書は体系的に学べる「外貨投資・FXの学校[入門編]」がオススメ
FXはキャッシュバックキャンペーンをやっている所や、スプレッドの狭い所で口座開設するのが良いです。
例えば、DMM FXは新規口座開設と500Lot取引で最大20,000円のキャッシュバックキャンペーンを行っています。
ローンアグリーメント(借款契約)
loan agreement; LA. 円借款の具体的実施にあたって,海外経済協力基金 (現国際協力銀行) と相手国との間で締結される契約で,これによって融資が確定する。 交換公文で既に政府間合意済みの事項,および借款実施に必要な手続き・権利義務関係を詳細に規定する。
ローンアグリーメントは外貨資産運用の手段としてはニッチですが、融資先がASEANといったアメリカよりも経済成長率が高い国になっています。
アメリカや日本や経済成長を終えて成熟している先進国ですので、融資先としては安定しているかもしれませんが、成長率に物足りなさを感じるでしょう。
とは言え、こういったものはほとんどが詐欺と言われています。詐欺というか途中でコケやすいんでしょうね。
実際にやっている人からの口コミの方が信用できそうです。僕はこちらのクラウドファンディングで資金を運用しています。
あわせて読みたい
カンボジアの経済成長がピンからキリまで感じられる7つのスポット
まとめ
資産運用のポイントは次の2つです。
- インフレヘッジ
- 円安対策
これを軸に投資商品を選ぶとこの様になります。
- 不動産
- 株式
- 外貨建て商品
銀行の預金の利回りがほとんどゼロの今、余剰資金は現預金以外の形で持つことが、インフレ時代の資産運用の基本になります。
また、投資の基本は分散なので、興味のあるものを少しずつやってみると、それもまたリスクヘッジになるでしょう。