教育資金は人生の3大資金の1つです。3大資金というだけあってとても高額です。
特に、高校や大学での教育費となると、家計にとっては大きな負担です。
高校3年間の総額は、公立高校で123万円、私立高校で401.7万円。
大学4年間の総額は、国立大学で242.6万円、医歯系の私立大学(6年間)ともなると1,849万円にもなります。
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そこで役に立つのが、教育ローンや奨学金です。
しかし、時期や借りられる金額によって「どちらを借りるべきか」が変わります。これを間違えると資金繰りに失敗したり、損をしたりと大変です。
教育ローンとは何か? 奨学金とは何か? それぞれどう使い分けたらいいのか?
この記事ではそんな教育ローンと奨学金について知っておきたい3つのことをお話します。
教育ローンとは
用途が教育関係に限られたローンのことを教育ローンと呼びます。保護者が申し込むため、返済義務は保護者にあります。
国の教育ローン
代表的な教育ローンは「国の教育ローン」です。これは政府系の金融機関である日本政策金融公庫の「教育一般貸付」のことを言います。
公庫は利益目的で営業していないので、利用者にとっては最も有利と言われています。
融資限度額 | 350万円(1年以上の海外留学資金は450万円) |
資金用途 |
|
返済期間 | 最長15年(年1.81% 固定金利) |
融資の対象となる学校 |
|
保護者の年収制限 | あり(子どもの人数により上限額が異なる) |
取扱金融機関等 | 日本政策金融公庫の各支店や各金融機関 |
保護者(世帯)の年収制限
先の表の通り、国の教育ローンが借りれるかどうかは保護者の年収制限があります。この制限の上限額以上の年収があるとローンを借りることはできません。
上限は扶養している子どもの人数と、保護者がサラリーマンか自営業かによって、次のように決まります。
子どもの人数 | 年収(所得)の上限額 | |
サラリーマンの年収 | 事業所得者の所得 | |
1人 | 790万円 | 590万円 |
2人 | 890万円 | 680万円 |
3人 | 990万円 | 770万円 |
4人 | 1,090万円 | 860万円 |
5人 | 1,190万円 | 960万円 |
また、子どもが2人以内の場合は、次の1~8の要件のいずれか1つにでも該当すれば上限額が990万円(事業所得者の場合は770万円)まで緩和されます。
- 勤続(営業)年数が3年未満
- 居住年数が1年未満
- 世帯のいずれかの人が自宅外通学(予定)者
- 借入申込人またはその配偶者が単身赴任
- その時申し込む融資の目的が海外留学資金
- 借入申込人の年収(所得)に占める借入金返済の負担率が30%超
- 親族などに「要介護(要支援)認定」を受けている人がいて、その介護に関する費用を負担
- 大規模な災害により被災した人
民間の教育ローン
教育ローン商品を取り扱う民間金融機関は大きく分けて、「銀行系」と「信販系」の2種類があります。融資の条件や利率は金融機関によって異なります。
一般的に、銀行系より信販系の方が審査が甘い、または利息が高いと言われています。
ちなみに信販会社が大学や専門学校と提携した「学校提携ローン」というものもあります。これは特に優遇装置があるわけではないので借りる側としてはメリットがほとんどありません。
また、教育ローンそのものも大きく分けて、担保の必要な「有担保型」と、担保が不要な「無担保型」の2種類があります。有担保型の場合、3,000万円程度の多額の借入れが可能です。
奨学金とは
奨学金とは、家庭の経済事情により学費の納付が困難な学生に対しての経済支援制度です。
奨学金には「給付型」と「貸与型」があります。給付型は文字通り貰えるお金なので返還する必要はありません。貸与型は返還する必要があります。
教育ローンと違って、返還義務は学生本人にあります。
日本学生支援機構の奨学金
奨学金の利用者が最も多いのが「独立行政法人日本学生支援機構」です。
この機構の奨学金には、第一種奨学金と第二種奨学金があります。いずれも貸与型で、貸与終了後に返還する必要があります。
それぞれの特徴を表にまとめます。
第一種奨学金 | 第二種奨学金 | |
特徴 | 特に優れた学生等で経済的理由により著しく修学困難な者に貸与 | 第一種奨学金より緩い基準で選考された者に貸与 |
利息 | 無利息 | 上限3%の有利息(在学中は無利息) |
対象となる学校 | 高専、短大、大学、大学院、専修学校など | 高専(4、5年生)、短大、大学、大学院、専修学校など |
日本学生支援機構の奨学金制度は、翌年以降も継続することができます。そのためには毎年「奨学金継続願」を提出する必要があります。これが毎年審査されるので、その都度通過しなければ奨学金は貸与されません。
ちなみに、奨学金は卒業時の成績の良さによっては返還が半額免除、あるいは全額免除になる場合があります。成績次第で丸儲けになるので、第一種奨学金なら利息損が無いので、積極的に申し込んでも良いと思います。
教育ローンと奨学金の使い分け
教育ローンと奨学金。どちらも教育費を補填するための借金として利用できます。
ではそれぞれどのように使い分ければいいのでしょうか?
基本的には、まず奨学金を借りて、それでも足りない部分を教育ローンでカバーしたいですが、時期的な制約があります。
そこでポイントになってくるのが、お金が必要なタイミングです。
入学金と前期の学費は教育ローン
大学の場合、入学金と初年度の前期の学費は段階的に3月中に振り込まなければなりません。
金利の面でも奨学金を宛てたいのはやまやまですが、奨学金を受け取れるのは入学後。これでは間に合いません。
そこで、教育ローンを利用することになります。
教育ローンなら年中申し込みを受け付けているので、合格発表の直後に申し込みができます。申し込みから最短2週間でお金が入金されるので、入学金と前期の学費の振り込みにも間に合います。
しかし、教育ローンは奨学金と比べると支払利息が桁違いに高いので、トータルの教育資金が足りないとしてもできるだけ事前に貯金して用意しておきたいですね。
後期以降の学費は奨学金をメインにする
後期の学費の納付は10月であることが多いです。これなら奨学金でも間に合います。
ここで気をつけなければならないのは、募集時期は春、ということです。つまり、後期の奨学金は春に申し込まなければなりません。
まとめ
教育資金は基本的には積立貯金で備えます。家計の都合で貯金では賄えない場合に教育ローンと奨学金を利用します。
教育ローンと奨学金で抑えておきたいポイントは次の3つです。
- 金額
- 時期
- 条件
これらを知った上で、せめて向こう2年ぐらいは教育資金計画を立てましょう。また、借りるときのことだけでなく、返すときのお金の動きまで計算しておくことが大切です。
借金返済は日本学生支援機構のシミュレーションがあるので借りる前に利用しておくことをおすすめします。