2008年のリーマン・ショック、2016年のブレグジットの時のように、世界が経済危機に陥ると円高・株安になります。
なぜ、経済危機になると円高・株安が進むのでしょうか?
これには世界の中でも日本だけ圧倒的に違うものがあるからです。
普通に考えれば米ドル高になるはず
世界的な経済危機が起こると、その先行き不透明感から、投資家はその後の経済に大きなリスクを感じます。
リスクが大きくなると資産の構成を収益性の高いものから安全性の高いものに換えたくなります。放っておくと大きな損をするかもしれないからです。
この世界で一番価値が落ちなさそうな資産とは何か? それは米ドル、もしくは米国債です。
米ドルは世界の基軸通貨であり、世界で流通している通貨の実に約45%を占めます。これはもちろん世界1位の流通量。どこの国に行ってもその価値が認められるでしょう。米国債も同様です。
一方で、日本円の流通量はわずかに2.76%。世界5位です。
で、あれば資産価値の安全性を考えると日本円よりも米ドルを持っていたほうが遥かに安全なはずです。
ではなぜ、経済危機が起きると米ドルよりも日本円の方が買われるのでしょうか?
日本経済は世界最高クラスに健全だから
「何をバカなことを言ってるんだ」と言われるかもしれません。
確かに、日本の負債は1,400兆円近くもあります。
しかし、これは物事のほんの一面に過ぎません。負債しか見れない人は貸借対照表(バランスシート)を知らない人です。
日本には確かに莫大な負債があります。しかし、一方で莫大な資産も持っているのです。
それでは日本のバランスシートを見てみましょう。
ざっくりと、資産合計は932兆円、負債合計は1,371兆円、その差額は-439兆円と書いてあります。
「おいおい 債務超過じゃないか」と思われるかもしれません。
しかし、この資産・負債差額の値はGDPの90%相当で世界並です。日本のGDPは546兆円ありますから、その90%は491兆円。資産・負債差額と合計するとプラスになります。
しかし、これでもまだ世界並よりちょっとマシな程度。
ですが日本にはバランスシートには載ってこない含み益があります。
通貨発行益で実質無借金に化ける
突然ですが、1万円札という日本銀行券は22円で印刷することができます。22円で1万円が作れるんですから、9,978円の利益が生まれることになります。
ただし、この日銀券は国にとっては負債です。日銀券は日銀にとっては債務証書だからです。9,978円がそっくりそのまますぐ儲かるわけではありません。
ではどうやって9,978円の利益を生むのでしょうか?
まず、国は1万円札を22円でゲットします。これで国債を買うことで世の中に印刷した1万円札が流通します。
国債には利息がつきます。それはほぼゼロ金利ですが、0,005%ぐらいは付きます。
発行した1万円で国債を買うと、毎年その0.005%、つまり50円の利益が生まれます。しかし思い出してください。この1万円の原価は22円です。
22円が毎年50円の利益を生むんですよ!(利回り227%)
毎年相当な運用利回りを得ることができます。そしてその運用益が積み重なって将来的に9,978円にまで増えます。
そしてその将来得られるであろう通貨発行益の総額はなんと430兆円です。
日本の資産・負債の差額は-439兆円です。これと通貨発行益はほぼ相殺します。
結論。
日本の財政は実質無借金
だから日本経済は世界最高クラスに健全だと言えるのです。
経済危機になったとき買うのは米ドルか?日本円か?
さて、話を最初に戻しましょう。
経済危機になると、その先行き不透明感から投資家はより安全な資産を求めます。
流動性の高いドル円と、安全性の高い日本円。
どっちが買われると思いますか?